夫婦で不動産投資~法人設立を目指すサラリーマン大家の記録~

夫婦共働きのサラリーマンです。法人を設立して独立開業することを目指し、夫婦で不動産事業もしています。現在は夫婦とも個人事業主です。

新築複数棟所有で返済スピードアップ?

表面利回り10%程度の物件

 表面利回り10%程度の物件では、現金投資をしたとしても所得税や固定資産税などを考慮すると10年以内での初期投資資金を回収するのは不可能です。現実問題として新築で現金投資できるだけの現金を持ち合わせている人はいませんので、ローンを組むことになります。

 20年ローンを組んで購入して得られた全てのキャッシュフローをひたすら蓄えて返済に充てたとして、完全返済まで15年~16年程度でしょうか。15年ローンであれば手元に全く現金を残すこともできずにひたすら返済し続けるような感じです。長期間ローンにして手元に残るキャッシュを多くしたとしても、同じくらいの返済期間がかかります。見た目のキャッシュフローに騙されてはいけません。

 ただ、これは一つの物件について見た姿です。仮に同じ条件の物件を5棟所有できれば、最初の物件だけでも早い段階で無借金状態になることができます。20年のローンを1本だけでも7~8年程度で完全返済できれば、かなり気持ち的には楽になります。また、ローンがあったとしても、安全圏で運用できていれば使えるお金ができてきます。

 表面利回り10%の物件で金利2.5%で20年間借り入れしたとして、返済比率は63.6%になります。返済額を4/5にできれば、返済比率は50.9%に、3/5にできれば38.2%に改善できます。安全圏とされる返済比率40%程度にするには、ローン負担を3/5にする必要があります。

 

減価償却期間を上手く利用する

 減価償却期間がある間は、減価償却費は経費として扱えます。新築不動産投資の醍醐味は修繕費がかからないこともありますが、この減価償却費が多く取れることです。ローンが無ければ、経費として扱える減価償却費は美味しい収入となることでしょう。ローンの金利は経費となりますが、ローンの元金は経費として扱えません。ローンの元金が減価償却費を上回っている場合は、黒字倒産の危険すらあります。しかも、元利均等返済方式の場合は元金分はどんどん増えて行き、金利分は減っていきます。支払い総額は変わらないのに、経費は年々減って行きます。何れにしてもマイナスのキャッシュフローにならないためにも、トータルでの返済比率の改善は大切です。

 複数棟の物件を所有して一棟に返済を集中させ、無借金状態の物件を持つことで状況は変わってきます。無借金状態の物件から得られる利益のうち減価償却費は経費として利益から引かれますので、税金がかからないお金ということになります。無借金状態であれば減価償却費は「使えるお金」と考えることもできます。他の物件の返済元金と減価償却費との関係にもよりますが、使えるお金を得ることができるようになるのは大きいです。

 木造であれば新築で22年の減価償却期間が取れます。20年ローンで繰上返済をせずに行けば、この恩恵を受けられるのは2年間です。1棟所有でも頑張って繰上返済をすれば6~7年に延命できますが、それまでの間は一切お金が使えないことになります。これが複数棟所有することで1棟だけでも6~7年程度でローンが完全返済できてしまえば、残りの15年間は得られる減価償却費は「使えるお金」として手元に残ります。

 この「使えるお金」を使ったとしても、その後も更に1棟の返済を終えることで「使えるお金」は倍額になります。キャッシュフローは大幅に増えているはずですので、「使えるお金」を蓄えて返済期間の短縮を図るという方法もあります。仮に5棟所有したと仮定していますが、2棟分の返済が終わって20%のローンが消滅すれば、ローンが残っていても怖くないでしょう。ここで返済スピードを落として「使えるお金」を使うという手もあります。要は安全に借金と付き合うことが大切です。最終的なローン消滅が20年後までかかったとしても、その間に「使えるお金」をいかに増やすかというのが重要だと思います。

 減価償却期間の終わった中古物件を購入する場合、この恩恵を受けられる期間はゼロではありませんが大幅に減ります。現金で築古中古物件を購入した4年程度は減価償却費が取れるのでいいでしょうが、ここで売却できなければお荷物を抱えることにもなりかねませんので注意が必要です。